2026年4月21日のDeNA対阪神戦は、ベイスターズが16-9で勝利。スコアだけ見てもかなり濃い試合ですが、実際に見ていた側の感覚としても、まさに情報量が多すぎる一戦でした。序盤は阪神に押され、5回表を終えた時点で2-5。それでもそこから一気にひっくり返し、追いつかれてもまた突き放し、最後は7点差で締める。いや本当に、胃が忙しいのに最後は気分がいい試合でした! 横浜スタジアムでこういう打ち合いを勝ち切れると、ただの1勝以上のものを感じます。
3点ビハインドでも試合を切らさなかった牧秀悟の一発
立ち上がりはかなり苦しい入りでした。1回表に森下翔太選手の併殺の間に先制を許し、2回表には坂本誠志郎選手の適時打、3回表には佐藤輝明選手の適時二塁打で0-3。阪神打線の圧力はやはり強く、近本光司選手、中野拓夢選手が出て、クリーンアップが返す形を作られると簡単ではありません。しかも才木浩人投手が相手先発ですから、3点差は数字以上に重く見えました。今日の試合は、正直ここからどう粘るかだと思って見ていました。
そこで空気を変えたのが3回裏でした。三森大貴選手が10球粘って四球を選び、そのあと牧秀悟選手が右中間へ2ラン。これで2-3。たった1点差に詰めただけ、と言ってしまえばそれまでですが、この一発の意味はかなり大きかったです。序盤から押され気味の展開で、ベイスターズ側に「今日はまだ全然いける」という感覚を戻したホームランでした。こういう場面で流れを引き戻せるのが、やはり牧選手の大きさです。主将の一振り、という言い方がしっくりくる場面でした。
5回の4得点は、この試合の最初の山場だった
ただ、試合は簡単には進みません。5回表、四球と安打で阪神にチャンスを作られ、1死満塁から大山悠輔選手、さらに福島圭音選手への押し出し四球で2-5。見ている側としては、かなり嫌な流れでした。点差も3点に広がり、相手先発は才木投手。ここでそのまま沈んでしまう試合は、シーズンの中でいくらでもあります。だからこそ、その裏の反撃には大きな価値がありました。
5回裏の攻撃は、今日のベイスターズのしぶとさが一番よく出ていました。三森選手のヒットから始まり、佐野恵太選手のタイムリー内野安打でまず1点。さらに度会隆輝選手がつないで、山本祐大選手が同点の2点二塁打。そして勝又温史選手がセンター前へ勝ち越しタイムリーを運び、一気に6-5まで持っていきました。阪神に押されていた流れを、たった1イニングでこちらに引き寄せる。これができる日は強いです。しかも主役が1人ではなく、三森、佐野、度会、山本、勝又と連なっているのがいい。上位だけ、主軸だけではなく、打線全体でひっくり返した逆転劇でした。
山本選手の同点打ももちろん大きかったのですが、個人的には勝又選手の勝ち越し打がかなり印象に残りました。2アウト二塁、0-2からセンターへ運んで勝ち越し。あの場面でしっかり結果を出せるのは大きいですし、今日の勝又選手は結果だけでなく存在感がありました。最終的に3安打4打点。こういう日があると、打線の景色が一気に変わります。「よし、また勝った」と言いたくなるような勝又デーでした。
追いつかれても、また突き放す。7回と8回の攻撃が痛快だった
それでもこの試合、まだ終わりません。7回表、レイノルズ投手が佐藤選手、大山選手に連打を浴び、木浪選手のセカンドゴロの間に1点を失って6-6の同点。ようやく作ったリードが消えた瞬間は、さすがに「今日は最後までこういう日か」と思いました。けれど、その裏にまた取り返すのが今日のベイスターズでした。ここが本当に大きかったです。追いつかれた直後の攻撃で、空気を相手に渡さなかった。これが勝因のど真ん中だったと思います。
7回裏は四球と安打で無死満塁を作り、山本選手の押し出し四球で勝ち越し。さらに勝又選手の2点タイムリー、2死満塁から牧選手のタイムリー内野安打で、この回4点を追加して10-6。押し出しあり、執念のヒットあり、泥くさく転がした打球での1点ありで、実に横浜らしい攻撃でした。豪快というより執念。きれいすぎないからこそ、見ていて気持ちが入ります。大量点の回なのに、全部の1点に意味がある。そんな4得点でした。
それでも8回表には阪神も反撃し、森下選手のタイムリー、佐藤選手の2点二塁打で10-9。1点差まで迫られます。この試合、本当に落ち着く暇がありません。ただ、ここで前川右京選手を遊併打に打ち取って最少失点でしのいだのは大きかったです。そして直後の8回裏、ベイスターズはまたもや追加点。宮﨑敏郎選手が四球で出ると、暴投と四球でチャンス拡大。山本選手がきっちり送って、勝又選手のタイムリー、京田陽太選手のタイムリー、林琢真選手の出塁で1点、三森選手の2点タイムリー、さらに佐野選手の内野ゴロの間に1点。この回6得点で16-9まで突き放しました。いや、さすがにこれは強いです! 取られても、倍返しとは言いませんが、それに近い勢いで取り返した8回でした。
打線の厚みと、最後に締めた坂本裕哉が光った
この試合の打撃成績を見ると、打線の厚みがよく分かります。牧選手が3安打3打点で中軸の役割を果たし、勝又選手は3安打4打点。山本選手も1安打3打点で要所を締め、三森選手は2安打2打点、佐野選手も2打点です。14安打16得点という数字も派手ですが、それ以上に「誰か1人が大爆発した試合」ではなく、「打線全体でつないで、何度も相手を苦しくさせた試合」だったのが頼もしいです。こういう勝ち方は、連戦の中で効いてきます。相手からすると、どこからでも点が入る打線はかなり嫌なはずです。
投手陣は楽な日ではありませんでした。深沢鳳介投手は4回1/3で5失点。ただ、試合を完全に壊したわけではなく、4回を投げ切って反撃の余地を残したことには意味がありました。橋本達弥投手が火消しをし、中川虎大投手は1回無失点。レイノルズ投手は1失点ながら勝利投手となり、最後は坂本裕哉投手が9回を2奪三振を含む3人で締めました。大量点を取った試合ほど、最後をきれいに終えることが大事ですが、そこを坂本投手がしっかり決めたのは好印象でした。乱打戦のあとに訪れる、あの静かな締め。あれで試合全体の印象がかなり良くなった気がします。
今季は「優勝は簡単ではない」と見る声が多いのも分かります。阪神も広島も巨人も、簡単に落ちる相手ではありません。ただ、だからこそ今日みたいな試合には価値があります。序盤に3点差をつけられても折れない。ようやく逆転しても追いつかれて、それでもまた取り返す。しかも、ただの一発頼みではなく、四球、長打、単打、送りバント、走塁と、いろいろな形で点を重ねていく。優勝争いをするチームには、こういうしぶとさが必要です。今日のベイスターズには、その要素が確かに見えました。
もちろん、毎試合16点取れるわけではありません。でも、今日のように打線が流れを切らさず、取られても取り返し、最後はきちんと締める野球ができるなら、このチームはやはり面白いです。派手なスコアの試合でしたが、見どころは単なる乱打戦ではありませんでした。牧選手の一発で息を吹き返し、勝又選手が試合を動かし、山本選手が要所を締め、最後は坂本投手がすっと終わらせる。いろいろ詰まった、実に濃い1勝。こういう夜は、試合が終わってもしばらく余韻があります。打ち勝つ野球はやっぱりいいですね。
